【感想】空気を読む脳 / 中野信子

f:id:nanaco_blog:20200906025552p:plain

私の推しの本です。
もっと書きたいことありますが、特に気になった箇所を抜粋して紹介します。 

概要

止まない不倫バッシング

 まず、日本人はセロトニントランスポーター少ないタイプが多い。
それ故、自分が利益を失ってでも不正をした相手に制裁を加えたいと思う気持ちが一番強い民族とも言える。
「不倫」という言葉に過剰に反応し、それぞれの正義で叩いている人に共通するのは、自分は正義の側にあり悪いことした人間を「ほかならぬ私が直々に懲らしめなければ」という心に燃えていること。
バッシングするには労力も時間もかかる。しかし、バッシングによって得られる快感(相手が惨めな姿をさらすことでほっとする、胸のすくような思いをする)を手放せないから、コストをかけてもバッシングをするのです。
そしてまた、自分が「正義」の側にいることを確認する行為でもあるのです。

女にモテる2大類型

①ダークトライアド(アルファ)
➁落ち着いた優しい頼りになる人(ベータ)

ダーク(暗黒)トライアド(3要素)とは、サイコパス・マキャベリスト・ナルシスト。比較的若く体力があり一人でも子育て可能な女は①に惹かれ、体力がなくなってくると子育てに協力してくれそうな➁に惹かれる傾向がある。

ハイスぺを求める女

(Twitterでよく見かけるね…。)学生時代などに味わったスクールカーストで低い順位だったなどの”屈辱的な記憶”を、結婚相手のステータスで解消したいと望む人は少なくない。「私の旦那は○○なのよ」とアピールすることで、それを手に入れた自分が承認されるような感覚を得られるようです。

「褒める」は危険

「『頭がいい』と思われているなら常にそうなるように振舞わなくてはならない」という心理的圧力(ラベリング)から困難な課題に取り組まなくなってしまう。褒めるときは頭のよさではなく「努力」「工夫」を褒めることで、「困難への挑戦を好み、創意工夫を楽しめる人」が育つ。

 

感想

本の一番最後の「おわりに」の数ページが一番好きです。ここには著者の苦しみが書かれていました。

愛、恩、仲間意識、自己犠牲…そういう”ふわっとしたもの”を感じさせるだけで、世の中の人は押し黙り、納得して、大人しくされるがままになってしまうのだろう。 まるでスイッチが切られたように思考停止してしまって話にならない。しかし、それは「美しい」と称賛され、「それ」を分析的に観察することさえ白い目で見られ、「それ」を理解できない自分は異質な物として排除される。

 私は著者ほど頭がよくありませんが、これと同じ悩みを抱えていました。幸いコミュニケーションがとれる器用なタイプだったので(学生時代から)上手く生きてきたつもりですが、理解できないものを受け入れ、それっぽく振舞うのは気持ち悪かった記憶があります。

大人になってからはある程度付き合う人を選べるので、気が楽になりました。好きな人とだけ関わるようにしていると、「それ」に酔わないタイプの「知性と思考の体力」がある人だけが残ってくれるんです。

それでも、この世は「それ」の法則に支配されているので、どうにかして生きていかなければなりません。そもそも解の定まらない人生で、私が選んだものが正解となるように、私も著者と同じく手持ちのカードで勝負して決めていきたい。